心の炎が消えぬ間に

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未プレイ者に贈るゼノブレイド2感想【後:戦闘・システム編】

 

kei-and-rin.hatenablog.com

 

 前編では世界観を中心に書きました。今回は戦闘と、ゲームシステムについて。

  基本的なゲームシステムの紹介まで踏み込むと文章量がエライことになるので、まずはダイレクト動画を引用。ゼノブレイド2を初めて知った方はこれを見てみてね。


ゼノブレイド2 Direct 2017.11.7 プレゼンテーション映像

 

●コツを掴むまでが大変だが奥深い、「攻める楽しさ」が凝縮された戦闘

  個人的に、このゲームで最も楽しかったのが「能動的に攻める楽しさが凝縮された戦闘システム」です。

 ゼノブレイド2の戦闘における基本戦術は、大きく分けて2つ。

 

1.「ブレイク>ダウン>ライジング>スマッシュ」効果を持つ技を制限時間内に順番に当てていく《ドライバーコンボ》で有利をとる/アイテムを取る

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 ゼノブレ1にも「崩し>転倒>気絶」の形であった連携要素です。ただし利点は1のときよりも多彩で

  • ダウン以降は敵が行動不能になり、一方的に攻められる
  • ブレイドコンボ(後述)中にダウン以降を決めると、ブレイドコンボの制限時間が伸びる
  • ダウン以降を決めたときにブレイドコンボ2段目以降を実行中だと追加効果が得られる(=フュージョンコンボ)(スマッシュチョウデンキブンカイ!)
  • スマッシュまで決めることで追加ダメージを与え、回復ポッドも得られる
  • スマッシュまで決めるとボーナスとしてお金やドロップアイテムを得られる

 と至れり尽くせり。特に最後が個性的で、戦闘中に何度もドライバーコンボを完結させればそれだけ多くのアイテム(武器・アクセサリー・果ては新しいブレイドを産み出すコアクリスタルまでも)が手に入ります。これでアイテムを稼ぐのが非常に痛快です。

 RPGで盗みコマンドや撃破ドロップによる「アイテム掘り」を楽しむ人も多いのではないかと思いますが、強力なアイテムの入手法が敵ドロップ中心であることや入手確率が高めであることも手伝って、本作はシステム的にアイテム稼ぎを楽しみやすい作りになっています。

 

2.必殺技の属性を決められた順番で繋ぐ《ブレイドコンボ》で属性玉を貯めて、属性玉を割るごとに威力を増す《チェインアタック》で一気に敵を殲滅する

 (XYBボタンで出す)アーツを使うことでゲージが溜まる必殺技を使う理由がこれ。ブレイドコンボは3段階まで繋ぐことによって大ダメージと追加効果が得られますが、最も大きなメリットが「属性玉」を付けられること。

 

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 なるべく多くの種類(同じ属性の玉を2つ付けることはできない)の属性玉をつけて

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 チェインアタックを発動し、割ることで攻撃回数を増やして

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 一気に大ダメージを与えて撃破!

 

 一般的なRPGの戦闘は「ダメージを回復できる安定した体勢を作って徐々に敵の体力を削っていく」という、ややもすると作業的になりがちなスタイルが多いです。しかしゼノブレイド2(のボスやユニーク戦)は体力が減ると強力な攻撃を繰り出して一気に追い込んでくるタイプの敵が多く、「耐えて削りきる」戦い方が難しいシステムになっています。(とことん鍛え上げれば完封する戦い方も出来ないわけではないですけどね)

 負けない戦い方ではなく、準備を整えてやられる前にやる、という攻撃的な戦い方が有効のが、ゼノブレイド2における戦闘の大きなポイントです。強敵を大ダメージで一気に撃破できるシステムを積んだRPGは珍しいのではないでしょうか。大ダメージの導火線であるチェインアタックは発動するとしばらくパーティーメンバーの蘇生が出来なくなるリスクがあり、ハイリスクの大技を上手く決めて強敵を仕留めたときの達成感はかなりのものがあります。

 ちなみにゼノブレイド1では敵とのレベル差が大きいと基本的な命中率/回避率で非常に不利になるシステムでしたが、今作は低レベルでも攻撃を当てることが出来、ブレイドコンボからチェインアタックを決める戦法が格上でも通用するので、戦術次第でかなり上位の敵にも勝てるシステムになっています。

 属性玉の付けやすさ・割りやすさは各ブレイド(パーティメンバー3名×それぞれ3体までセット可能)の組み合わせによって大きく変わるため、属性を考慮した編成を考える楽しさがあります。前述のドライバーコンボも含めて、如何に連携しやすいキャラクターやブレイドの組み合わせを見つけるかが、今作の大きな醍醐味の一つです。

 

 

▲ゲームシステムに慣れるための説明は最低限で、すこぶる不親切

 ここまでたっぷりと魅力を書き連ねてきましたが、今作の大きな問題点となるのが「不親切さ」と「不器用さ」。

 

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 戦闘システムはストーリー進行に合わせて説明が入ります。しかしこの説明、ゲーム中に後から見返すことができません。なので「よく分からなかったので復習したい」と思っても再確認することができず、実戦での試行錯誤を余儀なくされてしまいます。

 Switchはボタン一つで手軽にスクリーンショットを撮れるので、撮影しておくと保険にはなりますが…

 (1/24のプロダクションノート更新で、各種システム解説の動画をサイト上で見ることができるようになりました。ゲーム内で振り返り出来ないのは変わらずですが、応急処置といったところでしょうか)

 「ブレイドコンボの必殺技は属性を合わせるだけではなく、Lv1以上→2以上→3以上と段階毎に上げる必要がある」という点は特に気づきにくく、Twitterでよく情報共有がなされるほどでした。

 

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 ストーリー中の説明の他に「情報屋から購入するアイテム」という形で戦闘を含めたゲームシステムの情報を見れるのですが、断片的な小ネタの体裁になっており、体系的にまとめられていません。初心者が理解するための材料としてはかなり使いにくい…

(基本的な情報はロード画面で流しても良かったんじゃないかと思う)

 前述の《ドライバーコンボ》《ブレイドコンボ》のように字面だけでは意味を連想しづらい用語も多いのですが、「あれ、これってなんだっけ?」となったときに調べられるゲーム内ヘルプは欲しかったです。特にゼノブレイドクロスにはあったモンスター図鑑やアイテム図鑑的な要素が無くなったのは、眺める楽しさと調べる利便性の両方の意味で残念なところでした。ブレイド育成やサブシナリオ絡みで、後々になって敵やアイテムの場所を探すことが多いだけに…

 

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 また、システム画面でどういったことが可能かについては画面下の操作説明を見ないと存在自体に気付けないものがいくつかあります。Tiger! Tiger!で得たハナのパーツはハナライズでエーテル結晶に変換できる」とか「マップ画面でフリーカーソルを動かすとランドマークの名称を確認できる」とか… あれこれ探りながらプレイする人にとってはさりげないボタン説明を目ざとく見つけるでしょうが、ゲームの進行に乗っかって勢いでプレイするタイプの人にとっては「そんなの知らなかった!」となりがち。こういった部分をカバーするゲーム内マニュアルがあれば、だいぶとっつきやすくなって良かったのではないでしょうか(なんでSwitchで電子説明書まで無くしたんでしょうかね…)

  総じて、昔の体当たりで試行錯誤していた頃のゲームのようなヒントや誘導の少なさ、インターネットの情報共有や攻略本を念頭に置いているかのような解説の薄さが難点。注意深くゲーム内の情報を拾いつつ手探りしていく必要があるため、RPG慣れしていない方にとっては、なかなかに厳しいゲームです。

 

 

◆難易度はやや高め。快適でない点もあるが、アップデートで改善も

 基本的なゲームの難易度は(ゲーム慣れしていない方を中心に考えると)そこそこ高めでしょうか。激辛とまではいかないものの、前述の不親切さもあってゲームシステムを上手く乗りこなすまで戦闘に苦労しがちな印象はあります。

 サブクエストや探索で寄り道しているとレベルはかなり上がりやすいので、鍛えて強行突破が可能なのは救い。逆に戦い方が分かっているとレベルの上昇幅は過剰に感じるかもしれません(宿屋でのレベルアップを自粛してもいいくらい)

 全般的に、ある程度傭兵団やサブクエスト等で寄り道を挟みながらメインストーリーを進行するのを推奨するゲーム構成になっているかなと感じました。最短距離でストーリーを追いかけると敵の強さやフィールドスキルで足止めされやすく、どっしり腰を落ち着けてプレイしたほうが良い作品です。

 あと、広さ・高さ共に凝った作りのフィールドのため迷子になりやすいのも難易度が高めと思う理由のひとつです。ぶっちゃけグーラ上層右は序盤から縦に複雑過ぎ。メインイベントの目的地は都度目印が付きますが、「さあ頑張って辿り着こう」と言わんばかりに遠くにマーカーが付くことが何度かあり、誘導役である目的地マーカーが初心者救済になりきれていないこともしばしばありました。

 ロード時間は昨今のゲームの中ではやや早いほうだと思います(別アルスへのスキップトラベルを実測したところ、だいたい10秒でした)エリア移動を多用するゲームであることを考慮してか、テクスチャの読み込みを後回しにして立ち上がりを早める作りになっています。私はダウンロード版でプレイしましたが、特に読み込みの遅さがストレスに感じることはありませんでした。

 細かいシステム面の欠点としては「アイテム整理がしづらい(特にアクセサリーを効果別にソートできないのが不便)」「パーティに入れていないブレイド達の育成状況を見る方法が不便」といった不器用な部分が個人的に不満です。出来ないわけではないけど煩雑で、何らかの情報が欲しいときに移動しなければならず面倒、というところが散見されます。

 マップの使い勝手向上、ハナ育成用ミニゲームのイージーモード実装、傭兵団やポーチアイテム使用時のボイスが飛ばせずにテンポが悪くなっていた点など、発売後のアップデートで改善されたものもあります。なので今後のアップデートで更なる改善がなされる可能性はあります。

  なお、クリアタイムは約120時間でした。私はかなりの寄り道星人なので遅めです。テンポ良く進んでいる方だと、初見70時間前後でクリアできているようです。ゼノブレイド1と同様に、クリア後のレベルを前提としたモンスターがあちこちにいますので、クリアしてからも楽しむことができます。引き継ぎ要素ありの2周目モードも無料で実装されるとのアナウンスがあり、長く遊べる要素は豊富です。

 

◎総評:なじみやすくはない。しかしRPGの根幹部分が非常に秀逸

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 ゼノブレイド2はここまで挙げてきたように細かい難点の多い荒削りな作品ですが

  • プレイヤーの工夫がダイレクトに結果に結びつく、やりごたえのある戦闘
  • 話の積み重ねと世界設定がしっかり練り込まれたシナリオ
  • 表情豊かなキャラクター達が喜怒哀楽を見せながら進んでいくストーリー
  • プレイヤーの感情を高める、流麗なBGM

 と、RPGの根幹となる部分が非常に秀逸な出来映えでした。

 ゲーム慣れしていない方にとってはハードルの高い作品ですが、RPGが好きでキャラクターのデザインに強い抵抗感が無いのであれば、1人でも多くの方にやってみてほしい名作です。

 骨太のRPGを、感動のストーリーを、歯応えのある戦闘を求めるのでしたら、是非一度プレイしてみてください。

 長い文章になりましたが、今回はここまで。最後までお読みいただき、ありがとうございました。