テンポ良く進む「探索」と「強化」のサイクル【スチームワールドディグ2感想】
こんばんは。
以前からNintendo Switchでインディーズゲームをプレイしたい!という欲がふつふつと湧き上がってましたが、ようやく最初の1歩を踏み出すに至りました。
というわけで、今回は「スチームワールドディグ2」のレビューとなります。
●どんなゲーム?
まずはトレイラーから。個人的にこの動画がかなり秀逸な出来で、ちょくちょく見てしまうほど気にいってます。
音楽の変遷と映像の出し方がイイと思いません?思いません?
・基本情報(Switch版)
ジャンル:2Dアクションアドベンチャー
価格:¥2000
必要容量:251MB
対応コントローラー:Joy-Con/Proコントローラー
対応プレイモード:TV/テーブル/携帯
プレイ人数:1人
データセーブ:1アカウント毎に3つまでデータ作成可能。オートセーブ方式(エリア切り替え毎に自動セーブ)
その他備考:オプションでフラッシュ要素のオンオフ、画面輝度・振動・音量等を変更可能。操作ボタンをカスタマイズ可能。
容量はかなり軽いのでmicroSDカードを装着していなくても安心です。
プレイ時間は、クリアまで10時間前後が目安。
クリア後に高難度のやりこみ要素が少しあります(後述)
●探索が怖くない、わかりやすく良心的なゲーム設計
地底掘削アクション、と銘打たれてる通り、このゲームの基本的な流れは
地下世界を掘削して目的地を目指す>街に帰還して鉱物を換金し能力を強化する
のサイクルを繰り返しつつ、目的地へと到達することです。
地底探索というと広大なフィールドや入り組んだ迷路があるのでは…と想像する人もいるかもしれませんが、フィールドの大枠はかなりシンプルな構造であり、また一度通った地点はオートマッピングでいつでも1ブロック単位での確認ができるので位置把握はかなり楽になっています。ストーリーで向かう目的地にはマーカーが付き、どの方角に向かってどれくらい掘り進めればいいのかもある程度推測できるようになっています。
街と地下の往復については、序盤から「チューブ」という所謂ファストトラベル機能が使えるのでストレス無く素早く移動することが出来ます。チューブの配置も良心的で、ある程度奥まで進んで「最寄りのチューブまで戻るのは面倒な距離になってきたな」くらいのところで新しい入口を発見できるような間隔で設置されています。また、ゲームが進むと「近くに敵がおらず立ち止まっている状態なら何処からでも街に戻れる」能力を付けることも可能になるので、帰還するのにほぼ問題はなくなります。
これらの作りから、迷ったり帰還に苦しんだりといった探索型ゲームで陥りがちなストレスはこのゲームではかなり回避できます。探索型ゲームが苦手な人でも安心です。
かといって全体的な難易度がヌルいかというとそこまで甘々ではありません。ツルハシ攻撃のリーチが短いので戦闘はやや難しく、岩の下は掘り方に注意しないと落石に押し潰されて一撃死する危険も。安全第一で丁寧に進めればそう危険は無いですが、勢いよく飛び込むと痛い目を見やすく、危険地帯を安全に捌くための判断力を問う配置が多い傾向があります。
●テンポ良く進む、掘削>強化>進行のサイクル
本作最大の魅力は、キャラクターの成長要素とフィールドに散りばめられた敵や鉱石などの配置が絶妙なバランスになっていること。
鉱石が持ちきれないので一旦帰る
>稼いだ金でバッグ容量を強化
>奥に進むとランタンの燃料切れや土の硬さが気になってくる
>稼いだ金でツルハシやランタンを強化
>ストーリー目的地に到達。新しい能力をゲット
>新しい能力で新天地へ。能力を強化すれば行動の幅がさらに広がる
こんな感じで、地下探索、自己強化、ストーリー進行が芋づる式にスルスルと進んでいくように設計されているのです。
この間隔もとい感覚は是非実際にプレイして感じてほしいのですが、実に心地よいペースで探索>強化>さらに探索>さらに強化とサイクルを進めていくことができます。バッグがいっぱいになるまでの時間はそこまで長くなく、しかし(前述のとおり)帰還が楽なので、こまめに戻るのはそこまで面倒ではありません。画面切り替えのローディングもほとんど気にならないので、非常にテンポ良く掘って拾って強化しての進行を楽しむことができます。
「もう一回掘るか…」と思いながらついつい熱中してしまうこと請け合いです。
●掘り進むだけではない、洞窟で待つ多彩なチャレンジ要素
地下世界はメインとなる「坑道」の他に、アイテムが隠されている小部屋の「洞窟」が各地に点在しています。
最近のゲームで言うとゼルダBtoWの祠のようなもので、それぞれの洞窟にはテーマがあります。トラップをくぐり抜けたり、パズル状の仕掛けを解いたり、あるいはアスレチックのように足場を跳び移って進んだりと、探索メインの坑道とは一味違ったプレイヤースキルを問うサブクエスト的な作りになっています。内容がバリエーションに富んでおり、このゲームを単調な探索ゲームに留めない幅広さを与えています。
坑道内で死亡すると手持ちの鉱石の一部を失って街に戻されるのですが、洞窟内のチャレンジで死亡した場合は洞窟入口に戻される以外のペナルティは無いので、リスクを気にせず挑める親切設計です。
クリア、あるいは洞窟内の隠しアイテムを回収することでキャラクター強化に必要な「ギア」やコレクション要素である「アーティファクト」が手に入るので、キャラクターの強化に繋がる重要な要素のひとつでもあります。ゲームクリアに必須ではありませんが、強化に繋がる分達成感は大きいです。
各洞窟はアイテムをすべて回収するとマップにチェックマークが付くので、攻略状況もわかりやすく、しばらく様子見してキャラクターを強化してから回収する作戦もとりやすいようになっています。
●各要素の細かい点について
・ストーリー:個人的にはまずまず
本作のキャラクターは癖のある連中が多く、西部開拓の荒くれ的な雰囲気もあいまって一筋縄ではいかないがどこか憎めない、独特の雰囲気を醸し出しています。強化画面の説明やアーティファクトに添えられている一言にも癖のあるユーモアが散りばめられています。個人的にこういうセンスは結構好き。
テンポ良いアクションゲームらしく、要所要所の会話シーンはダラダラしたところのない軽快な作りです。本作の事件と顛末については前作の予備知識不要ではありますが、世界設定的な情報はあまり語られないため、前作をプレイしていると分かる要素が多少ありそうには感じました。
ちなみに前作「スチームワールドディグ」のSwitch版は2018年7月に配信予定とのこと(3DSやSteam等でプレイ可能です)
中盤のイベントはかなりインパクトがあります(結構怖かった(((;゚Д゚))) フラッシュエフェクトが苦手な方はオプションで切っておくことを勧めます)反面、終盤はややあっさり風味に感じるかもしれません。
・音楽:環境音重視といったところ
メロディアスにプレイヤーの心に突き刺さる感じではなく、洞窟や街などの放つ空気感を音楽で表現したスタイルになっています。その分ツルハシで壁を掘ったり、鉱石を拾ったりといった各種効果音のアクセントが印象に残りやすく、地下掘削メインのこのゲームによくマッチしています。
ちなみにサウンドトラックをSteamで購入可能ですが、Steam版のゲームが必要なことと、日本語サポートが無い点に御注意を。
・難易度:(クリアまでは)比較的易しめ
前述のとおり非常に迷子になりにくく、キャラクターをテンポ良く強化していけるので、丁寧にプレイしていけば比較的易しめな作品です。移動能力は優秀だけど攻撃はしづらいタイプのアクションなので、無理しないのがコツ。死亡して鉱石をロストすると結構な痛手になるので、鉱石の換金はまめに行うことをオススメします。
一部の洞窟は多少のアクション慣れやパズルで頭をひねる要素がありますが、クリアに必須な部分はそこまで難解ではないかと。パズルは数十分考えたところもありましたが、後日に持ち越すほどの難問はありませんでした。
ストーリーが進むと主に移動能力の追加でどんどん動きやすくなるので、厄介そうな洞窟は後回しにするのも手です。隠しアイテム探しについても発見を助ける能力を追加できるので、後から探して回るのも比較的やりやすくなっています。
・クリア後要素:かなり辛口
地下世界に散らばるアーティファクトを全回収することで、「試練の間」に入ることが可能になります。隅々まで探索する必要があるので事実上のクリア後要素です。
この洞窟は7種類の異なる高難度ステージがランダムに登場し、それらを全て連続で突破しなければクリアできないという、かなり辛口のエンドコンテンツになっています。本編では必要無かったテクニックをいきなりノーヒントで要求されることもあり、これまでの丁寧な作りから一変した、上級者に対する挑戦状です。
私は《スキルの試練》の突破方法が分からず停滞中…(>_<)というわけで内容の子細は語れませんが、骨のあるチャレンジに挑みたい方には丁度良い追加要素と言えるのでは。一つずつコツコツ攻略する手が使えないため、クリア後要素の中でもかなり厄介な代物と言えるかもしれません。
●「もっと掘りたい!」と思わずにいられない
以上、スチームワールドディグ2についてでした。
作中の要素で、個人的に最も気に入ったのはフックショット。壁を掴んで上下左右に高速移動したり、天井張り付き>斜めに降下してまたすぐ天井張り付きを繰り返して坑道の崖を越えようと試みたり、アクションの幅が一気に広がって抜群の爽快感がありました。序盤はやや頼りないですがこのゲームの主人公は化けます。強化の幅広さも熱中度を上げる大きな要素の一つですね。
↑エンディングで表示される成績表。このあと探索度は100%にしました(+1時間くらい)
本作のプレイ時間はじっくり回収に勤しんで12時間でした(私はいつもプレイ時間が長くなりがちです)が、クリア時は「これだけ良いシステムだからもっと探索を楽しみたい!」という気持ちでいっぱいになりました(^_^;) ゲーム性・表現力・システムと多方面に優れたゲームですが、熱中度のわりに長さが足りなく感じるのが数少ない欠点の一つかもしれません。贅沢な悩みです() 2000円のゲームとしては破格のパフォーマンスでしょう。
フルプライスのゲームと比較しても充分勝負できる傑作だと思います。2Dアクションが好きならば、特にオススメです。