心の炎が消えぬ間に

ゲームについてのアレコレを、熱が冷めないうちに、気の向くままに書き連ねるブログ

オクトパストラベラーの8人を振り返る【ネタバレ注意】

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  こんばんは。
 今回は表題のとおり、オクトパストラベラーのメインキャラクター8名のシナリオや職業についての感想を綴ってまいります。

 ストーリー感想ということでネタバレ全開です。全員のメインストーリークリア後の閲覧を強く推奨します。あと1人ずつ振り返っている関係上かなりの長文になっていますので御了承ください(^_^;)

 まだオクトパストラベラーをプレイ/クリアしていない方で、どんなゲームか知りたい場合はこちらをどうぞ↓

kei-and-rin.hatenablog.com

 なお、ゲームシステムやBGMについての感想はこちらで綴っています。興味のある方はこちらも是非↓
kei-and-rin.hatenablog.com

 

 ●トレサ/商人&ルーンマスター

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 加入順で進めます―というわけで、主人公はトレサにしました。
 理由は大きく2つあって

  • 主人公が外せなくても戦闘バランスの影響が少ないように、中衛職から選びたい
  • 主人公は他のキャラクターの話に入り込む存在と捉えているので、自身のストーリーは重くないものを選びたい 

 片方だけなら他のキャラクターも候補に入りうるのですが、両方を満たすキャラはトレサ一1択でした。

 

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 トレサ編はメインストーリーでおそらく唯一、物語中に人物が死ぬシーンがありません。そのこともあって明るくスッキリとした、主人公に選んでよかったと思う物語でした。「ちっちっちっ」「いい風吹いてるー?」「幸運の風よ、吹き荒れよ!」といった戦闘ボイスもかなり印象的でしたね。
 ストーリーの要所要所で目利きのセンスやチャンスを逃さず掴むところを見せてはいましたが、個人的には商人というよりも「宝物」を探す若き旅人としての側面が強かったように思います。他のメンバーにはだいたい明確な旅の目的がある中で、一番目的がふわっとしていたのもトレサ編の特徴のひとつ。最年少で戦闘的な職業でないという設定が強く作用しているのでしょう。これらの要素から、最もプレイヤー視点に近い存在になりやすいキャラクターかもと個人的には思います。
 商人としての立ち回りは2章が一番らしさがあって好きです。トレサ、アリー、モーロックは三者とも商人といえる人物ですが、それぞれスタンスが大きく異なるところが気に入ってます。4章はちょっとトントン拍子というか偶然上手く行き過ぎている気はするんですけれど、トレサの清い性格とチャンスを逃さない姿勢がよく現れたエピソードであったとも思っています。ラスボスのポッと出感はどうにかしてほしかったけど…せめてリブラック編で男のほうとも戦えるとか、あってもよかったんじゃないかなぁ。

 

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 基本職で一番のお気に入りは商人。全体攻撃・SP補給・強化・防御・そして奥義でそこそこの火力まで確保という多芸っぷり。槍・弓・風の使用属性も全体を通してかなり汎用性が高く、役目が無くて困る状況はかなり少なかったです。
 最序盤、ブーストした【ひと休み】を試したときにSPが一気に回復するのを見たときは相当驚きました。RPGをプレイするときは所謂MP系をどうやりくりするか気にしているんですが、本作はこれを見たときから「ああ、派手にいけるやつだコレ」と確信してワクワクが増したのをよく覚えています。
 あと個人的に推したいのが【BPパサー】これはすごく雑な解釈をすると"対象キャラの行動の威力を任意のタイミングで1度だけ倍化させる"と書いてあるようなもの。半端に攻撃するよりもこれでとどめ役を強化するほうが効果的。勿論シールド割りのための攻撃回数を増やすのにも有効。非常にシンプルな技ですが利用法が幅広く、本作で五指に入るくらい好きな特技です。序盤から使えてもぶっ壊れにならない塩梅なのがまた良い。

 

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 そしてトレサ&商人を語るうえで外せないのが、上級職ルーンマスターとの圧倒的なシナジー
 なんといっても【拡散のルーン】&【緊急回避】ガルデラ戦後半では大変お世話になりました。地味ですがひと休みも拡散することで大量のSP補給が可能なので、普段使いでもトレサ&ルーンマスターの組み合わせは反則級に強いと言えます。ルーンの恐ろしい破壊力や追加攻撃ゆえにブレイクとの相性が良い点も非常に強烈。最初にルーンのダメージを見たときはぶっ飛びました。この魔法剣フレア以上なんだけど。貿易風の槍という商人のためにあるかのような槍がありますが、これはそのままルーンマスターとも抜群の相性を発揮してくれるので、なおのことルーンマスターはトレサに使わせたくなるという…
 最初の印象では器用な特技の数々でパーティーの潤滑油的な存在になるのかなと思っていたトレサでしたが、最終的にはルーンマスターのおかげで攻防両面で要となるバリバリの主力になってしまいました(^_^;) でもまあ、他にもぶっ壊れた性能のキャラクターはいるし、ガルデラは恐ろしく手強くてこの職のポテンシャルをぶつけるのに充分な相手でしたし、単に強すぎるーぶっ壊れだーという感想で終わらない、非常に楽しい職業でした。

 

●オルベリク/剣士&武芸家

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 トレサスタートで右回りか左回りか…と考えたときに、まずオルベリクを入れてから逆に周回すると「トレサ・オルベリク・サイラス・オフィーリア」でバランスのいいパーティーになるぞ、と思いついたので2番手はオルベリクにしました。

 

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 メインストーリーで一番好きな物語はオルベリク編です。迷いや戸惑いを覚えつつも、騎士としての自らの技と辿ってきた旅路をもって、己の剣を再び見出す―亡国の騎士の、復讐とは異なる過去との決着。頑強で清々しく熱い物語でした。折れた男が再び立ち上がるまでをじっくり描いているのが特に良い。
 印象的なシーンも多く、オルベリクの迷いを静かに突きつけるグスタフ、リザードマンの長が前に立つのを見て気づくオルベリク、エアハルトとの決着、そして4章後半の"助っ人"のシーンと、心にずしりとくる場面がいくつもありました。対峙する相手の信念を静かに見定め、敵に対しても敬意を忘れない姿勢は実に凛々しい。心に迷いを抱えていてもその誠実さがブレないところがとても気に入っています。彼こそ漢の中の漢。

 

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 剣士というとやはりガッチリと前衛を支えるイメージ。ダメージを受け止めるタンク担当として早めに入れたほうがいいかなという気持ちが大きかったのですが、結局【挑発】はそこまで重要ではなかったというオチでしたCRPGあるあるではあります)ただ、中盤までの特にボス戦では役に立ってくれた記憶があります。あと踊子から【反撃】アビリティを習得して挑発するとバシバシカウンターを入れてくれて非常に痛快でした。特に試合で回避重視の装備と併せて使うと攻防両面でとても動きやすくなって楽しかったですね。
 剣士とは若干話が逸れますが、今作は回避パラメータがけっこう有効に作用していたのが印象的でした。全回避とまではいきませんが特化すると目に見えて避けますし、多少補強する程度でもそれなりに回避してくれます。なので盾は対ガルデラで防御重視にするまでの殆どの期間、回避の上がるタイプを全員に持たせていました。

 剣士の特技では【横一文字斬り】と【千本槍】、そして奥義が特に印象的。雑魚殲滅に便利な全体技と、槍弱点に効果覿面な連続攻撃。奥義は装備が整えばダメージ限界に簡単に届く強烈さで、これらだけでアタッカーとしては充分完成している気がします。ただオルベリクはSPが低めなので千本槍や奥義を撃ってると簡単にガス欠するのはいいバランスでした。

 

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 上級職のひとつ武芸家はしばらくオルベリクに付けていましたが、ガルデラ戦では「オルベリクは剣士だけで役割遂行できるから武芸家は他に回したほうがいいのでは?」とようやく気づいてテリオンに渡しました。実際武芸家は「アビリティが高燃費なダメージ技だらけで戦術性に乏しい」印象が強く、概ね奥義をぶっ放すための職業という雑な運用に(^_^;) でも、その奥義が鬼神の如きダメージを叩き出すのでそれだけでも値千金と言えてしまう…逆に言えば上級職だけで基本職を塗り替えるような存在にはなっていないわけで、癖の強さもまたよし、ではあります。

 

●サイラス/学者&魔術師

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 ぶれない天然女たらし先生。と書くとえらくアレな人に見えてしまうか(>_<;) 
 トレサと並んで当パーティーの主力だった頼れる先生です。オルベリクやオフィーリアは適宜サブメンバーと入れ替えましたが、サイラス先生は皆勤に近いレベルでパーティー入りしてました。全体火力と【予習】【調べる】があるので初見ポイントに連れて行きたくなるんですよねー。

 

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 8人の中で最も強固な信念を持っているのはサイラスなのかもと思うくらい、自身の知識欲にまっすぐで怯むことなく突き進む人物。それだけだと単なる暴走した好奇心でしかないのですが、教師としてもまったくぶれることなく「どんなに危険な知識でも未来の礎となるよう後進に伝える」ことを第一とする真摯さと前向きさが、サイラスという人物を憎めないものにしているのでしょう。街の人に探りを入れる様は邪道だけれど、ある意味この人ほど純粋な人はいないんじゃなかろうか。
 4章で今作の物語全般の核心にさえ迫る展開ぶりは、「壁画」の異様さも相まって実に見応えのある内容でした。前回の感想ではダンジョンに面白みが欠けていたと書きましたが、古の遺跡はストーリー終盤らしい”凄み”があって非常に良いダンジョンでした。こういうのがもっと欲しかった…

 

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 学者は当パーティーでかなりの期間メイン火力として活躍しました。
 敵全員にブレイクを入れて2-3段ブースト大魔法、相手は死ぬ。
 バトルジョブを手に入れて以降の雑魚戦は概ねこのパターン。ウィザードロッドには本当にお世話になりました。SP回復手段を入れれば燃費も問題なくなるので、このゲームの対雑魚戦闘はRPGの中ではかなり楽だったと思っています。オクトパストラベラーの戦闘は火力不足だと嘆く人がたまにいますが、強い装備をきちんと付けてブレイク中に高火力攻撃を当てればいいから、個人的にはむしろプレイヤー側に火力がありすぎるくらいじゃないかと思うほどです…
 中盤は無双級に活躍した反面、奥義や上位職が台頭してくると学者の火力は頭打ちになり、最終的にはアタッカーというより属性ブレイクで支援するサポート的な存在になるのは興味深い変遷でした。アビリティがほぼ火力のみということもあって終盤のボス戦では力不足が目立ってしまいましたが、それでも思い入れの強い職業です。

 

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 オルベリクに武芸家を付けるような人なので、魔術師も長いことサイラスに付けてしまってました。実際学者と魔術師はやることがよく似ているので役割の拡張性という点だと同一人物に付けるのは下策なんですが、サイラスのカンスト級属性攻撃力から繰り出す特大魔法は純粋に楽しかったです() ルーンマスターの追加攻撃と極めて相性が良いので、ボス戦ではむしろ【属性防御破壊打ち】でアシストすることが多かったですけどね。
 ルーンマスターとのコンビで特大ダメージを稼げる点と、ガルデラ戦で属性3回攻撃の有用性がいかんなく発揮できた点から、魔術師も頼もしい活躍をしてくれたお気に入りのジョブの一つです。

 

●オフィーリア/神官&星詠人

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 優しさと強さを兼ね備えた人。オフィーリア編はのどかだなーと緩んでいたら終盤で急転直下して驚きました。誰を探っても「とても信心深い」としか出てこないウィスパーミルの得体の知れなさは非常に印象的で、「聞き出す/探る」システムのポテンシャルの高さに感心させられたものです。

 各人のメインストーリーにおける敵役は主役キャラクターの同業者が多く、その職業における「清く前向きな信念を持って行動する主役VS利己的な目論みのために周囲を操る敵役」という対比が多くの物語で成立しています。オフィーリア編は特に、人々を結びつける信仰/人の願いにつけこんで操るための信仰という対比が強く描かれていたのが印象的でした。

 

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 歪んだ信仰の話というのはRPGでもそこそこ目にするネタですが、外部の者ではなく聖職者自身がその闇と直に向き合い正していくというのは、意外と珍しいのでは。解決の決め手になったのが良い意味で霊的ではない、実に人間的な現実に根ざしている言葉であったところ、聖職者の物語ではあるが、奇跡の物語ではないという点が個人的に気にいってます。個人的に宗教家って胡散臭く思いがちなんですが、オフィーリア編のそれは普遍的な人間性に基づいていると思えるところに清らかさを感じますね。

 

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 神官はメインパーティーのヒーラー枠でした。薬師アーフェンとどちらをメインに使うかは迷いましたが、ルート的にトレサと近いのが決め手になりました。加入してから分かったのですが全体回復は薬師には無い神官のみの特徴というわけで、特にボス戦で安定した働きが出来て助けられました。【回復限界突破】を試したときの「これは相当ヤバイやつでは…」という手応えは今でもハッキリと思い出せます(^_^;) 特に「復活のオリーブ(特大)」で蘇生したときのHP9999の頼もしさたるや。
 回復のみならず、光属性限定とはいえ全体火力も使えますし、属性攻撃反射も攻防を兼ねられるので相手によってはかなり活躍してくれました。バッドステータス対処にさえ目をつぶれば、かなり器用で強力なヒーラー職だと思っています。

 

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 メイン4名の1人というわけで、残る上級職の星詠人はオフィーリアで運用しました。残念ながらガルデラ戦では採用しませんでしたが…3属性を一度に撃つ攻撃といい、唯一敵バフ・味方デバフの解除が出来る点といい、決して弱い職業ではないんですが、他の職業のような汎用的な強さではなくニッチな状況対応型の印象をもってしまうのが難点だったのかも。特殊なバフ技の類を器用に使いこなせれば楽しい職業だとは思うんですけどね。

 

●ハンイット/狩人

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 ここからサブパーティー枠(普段使いしていない、残りの4名)になります。
 ハンイットは初見だとこれといった特徴というか、推しポイント的なものが見えづらい人だなーという印象でしたね。
 しかしシナリオを終えた今となっては、作中一番の美人はこの人だろうと言えるくらい気に入りました。どうしても後ろ暗さを纏った印象を拭えないプリムロゼとは異なる、自然体で落ち着きと生命力を感じるタイプの美人。

 

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 3章後半のシーンが分かりやすいんですけど、ハンイットは全然飾ったところが無いのにすごく女性的な魅力を感じる不思議な人です(私だけですかねー?(^_^;))特に声に力のあるキャラクターだと思います。CVの方の演技に拍手。
 "2DRPGの現在形"たるオクトパストラベラーですが、2DRPGの全盛期には入れられなかったものの一つがキャラクターボイス同じテキストでも声によって受け取る印象は大きく変化しますが、ハンイットや後述するテリオンはその利点を強く得ているキャラクターですね。

 ハンイットのストーリーは「師匠を追い、師匠を救うために赤目狩りを引き継ぐ」というシンプルな主軸に「師匠の知り合いが皆女性なんだがあの人なんなの()」というネタがくっついた二重構造(?)だった点が面白かったです(^_^;)  赤目という謎の怪物の持つインパクトから始まる物語ではあるんですが、全編通して見ると、師匠の各地での遍歴や、赤目の脅威に対し協力して狩りたてていく点など、狩人という職業の矜持と人々との交流を織り交ぜた人間的な暖かみが中心の物語だったように思います。狩人というと孤高で他人とは距離を置くような雰囲気が纏われることが多い気がしますが、ハンイットは凛としていながらも人払いするような気配は無く、それもまた彼女に魅力を感じる点のひとつなのかもしれません。

 

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 狩人といえば【どしゃぶり矢】でしょうか?確かに型に嵌ったときは恐ろしく強いのですが、個人的にはどちらかというと不器用さが目立っていたように思います。決してゲーム全体で通用するようなアビリティではない(力説)ハンイットは【けしかける】の不便さもあってバトル面では使いにくさを感じることが多かったです。そんな中で光っていたのがねんちゃく糸】行動を最遅化させて動く前にブレイクするのが強力で、特に時間をかける毎に脅威度が増していく後半のボス戦ではなかなかに重宝しました。

 あと忘れてはいけないのがサポート枠で習得可能な【ラストアクト】。このゲームは強力な技やアイテムのお陰で1行動の価値がかなり高いので、25%とはいえ追加行動は非常に強力。ラストバトルでは全員には採用しませんでしたが、ルーンマスター役のトレサと調合&アイテムの鬼であるアーフェンには付けていきました。特にルーンマスターのバフ手順を1手短縮できるのがありがたい。今作の戦闘の思い出を振り返る上で、特に印象的だったアビリティのひとつです。

 

●テリオン/盗賊

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 ミスターボソボソ声。ですが声から性格が滲み出ててこれはこれで悪くないです。それにしても戦闘時の声を聞き取りにくいと思い一度イヤホンを付けたことさえあるのですが、それでも一部の台詞がとても聞き取りにくかったので諦めたという恐ろしいヤツです(^_^;)しかし変装した爺さんの声はよく通り、同じ戦闘時でも「マァジックスティールダガァ…」は妙に耳に残る…不思議だ…

 ぶっちゃけ8人の中では一番ツッコミどころの多い物語かもしれません。1章の屋敷侵入も3人連れていくのに違和感が無いといえば嘘になっちゃうし…テリオンは盗賊として隠密に行動するシーンが多く、普段の立ち居振る舞いからも積極的には人と絡まなさそうな雰囲気があるので、このゲームの構造とは今ひとつ相性が悪かったと言わざるを得ません。

 

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 ただ、テリオン編でやりたかったであろうことは理解できます。全体を見た後だと、1章でのテリオンはパッと見での印象以上に荒んでいたのかも、ある意味死に場所を探すように盗みをエスカレートさせていたのではないかという気もしています。プライドの高いテリオン本人にはそういう自覚は無かったでしょうけど、『兄弟』に裏切られて己の生き様にぽっかりと穴が空いたところを、困難な盗みにひとり身を投じ続けることで埋めようとしていたのではないか…そう考えると、テリオンの物語は彼の盗賊としての生き様に再び血を通わせるまでの物語である、なんてことを思います。

 盗賊は「欲しいものを手に入れるために手を汚すことを辞さない」アウトローな存在。それだけに利己的に盗むだけの者は単なるゴロツキでしかありません。ダリウス達がそうであるように。
 盗賊と信用というのは一見すると水と油のようですが、『盗賊らしい盗賊』なんてものが薄っぺらい悪党であるというのならば、信用という戯言めいた結びつきに意味を見出すことには、幾ばくかのロマンがある、そう思えます。

 

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 盗賊は攻撃属性が偏り気味、かつ全体攻撃技がありません。ゆえにブレイク>全体攻撃を基本戦法とする私の戦い方だと、盗賊はボス戦向きで道中では使い勝手の悪い職業という印象が強かったです。ただ、ひとつひとつの技は非常に優秀なんですよね。【コウモリ】【フクロウ】は非常に効果的なデバフですし、【マジックスティーダガー】は素打ちでも実質ノーコストの2回攻撃で、ブーストすればSPを一気に回復できる技。そして奥義は使ってみないと分からない意外な高火力攻撃。これらがあるので器用かつポテンシャルの高い職業だとは思います。
 反面、私の場合はトレサが資金を稼いでくれる(【歩いてリーフ】は想像以上にえげつない特技だった;)ので、【盗む】系統はほぼ空気でした。最強武器集めや制限プレイでは輝くのかな?
 ボス戦では奥義と【コウモリ】【フクロウ】があるだけでも充分な存在ではあるのですが、如何せんデバフの基本効果ターンがたったの2なのが痛い。踊子等のバフもそうですけど持続ターンをここまで絞っているのはどうなんだろうと思うんですが、BP投下による効果ターン増を重視させるためか、あるいはテスト環境で猛威を奮ったがゆえの仕様なのか…

 

●アーフェン/薬師

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 からっとした言動が印象的な好漢。立ち居ぶるまいからはあまり連想できないのですが、小さな村で薬師の腕を磨き、旅先でも素早く状況に対応する様は天才的な気さえします。だからバトルスキルもあんなにスゴイのか…(^_^;) きっぷも腕もいい医者って最高やん…

 

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 そんなアーフェン編の主題は「悪人の命も救うべきなのか否か」ある意味8つの物語で最も重いテーマを担っているといえます。オーゲンの辿った道も極めて人間的なものであると思いますし、アーフェンの出した答えにはひょっとしたら賛否あるのかもしれません。しかし彼の答えは恩人への感謝と彼自身の情熱が乗っかった、清々しい意思だと個人的には思っています。同時に「他人からの伝聞だけで善悪を判断はしない」行動でもあると感じました。振り返ると、2章の悪徳薬師の話でそういう要素が事前に入ってましたね。
 アーフェン編は各話のエピソードと登場人物に人間的な妙味があるところは好きな反面、最終話のボスが物語的な盛り上がりとリンクしておらず、そこにどうしてもモヤモヤを感じるのがちょっと惜しかったです(わしはバトル脳だから、ストーリーがどんなに良くてもそれだけでは満点を付けられないアレな性格なのじゃ…)

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 出たな薬師アーフェン、ふたつのバランスブレイカーを有する、CRPG屈指のぶっ壊し屋。
 まずはアーフェンの固有技である【調合】全体BP+2の【ザクロシャワー】を筆頭に、厄介な状態異常を1手で全員消去したり、複数人を蘇生したり、属性攻撃でシールドを2削ったりと多彩な効果を発揮してくれました。火力以外はこれひとつでほぼなんでもこなせると言ってもいいかも。調合素材の調達が問題になるのですが、【歩いてリーフ】と雑魚からのドロップ(原則として雑魚戦闘は逃げずにきっちり倒して進めました)で十二分に懐は潤っていたので全く問題はなかったです。
 そしてもうひとつのバランスブレイカーが、奥義【霊薬公ドーターの恩恵】このゲームは上位のアイテムが恐ろしく強力で、これがかかっていればワンアクションで全滅寸前をフル回復まで戻せてしまいます。奥義発動自体が前述の【ザクロシャワー】のおかげで容易なこともぶっ壊れっぷりに拍車をかけている始末。上位アイテムが店で買えないので使い所がある程度限られることだけが救いです(^_^;)
 私はラストエリクサー症候群歴が長いので奥義をフル活用したのはガルデラ戦くらいでしたが、この奥義はアイテム運用の巧いプレイヤーにとってはゲームがヌルくなりすぎて縛る必要があるほどの技でしょう。一応最上位アイテムは貴重なので考えなしにそこかしこで使いまくることは出来ず、ゲームバランスを悪化させているとはギリギリ言えないか…と思っています。ここは賛否あるかもしれませんね。
 この奥義のおかげで、"上位アイテムを蒐集することに強い意義がある"のは個人的にこのゲームの良かった点のひとつです。他のRPGだと消費アイテムって手に入れてもあまり嬉しくないことが多いと思いませんか?(<典型的ラストエリクサー症候群患者)

 薬師は【死中活撃断】で全体攻撃が可能だったり【健全化】という予防と解除を兼ねる(【健全化】のグッドデザインなスマートさは地味ながら褒めたい)優秀な治癒スキルがあったりもするのですが、「基本技に全体回復スキルが無い」点がどうしても気になりがちなので原則として神官と組み合わせて使ってました。普段使いに便利な神官とボス戦向けの薬師で、ヒーラー2職は良い差別化が出来ていたんじゃないでしょうか。

 

●プリムロゼ/踊子

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 8人の物語の〆は、プリムロゼ。
 オクトラ発売初日から数日くらいの頃によくTwitterで流れてたのが、「プリムロゼ編だけ空気が超重い」といった感想。
 8人の加入順はトレサ編1話終了後に決めたので当時そういった感想が目に入っており、それならプリムロゼは各話の〆に持ってくればいい味が出るのでは?と思いつきました。以降、4章まで毎回プリムロゼだけは最後の8番目に回すことにしたのであります。

 

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 1章のインパクトは本当に強くて重かったですね。誰よりもシビアで陰鬱な物語。お色気担当かなーと軽く捉えていた第一印象が1章であっという間に吹き飛びました。ただ不思議とその重苦しさは嫌いではなく、サンランド地方のBGMを私がいたく気に入ったのには間違いなくプリムロゼ編1話の影響があります。ストーリーが街の外で終わるのって、思い返せばあのときくらいだったような…
 そして2章、舞台のスティルスノウの後ろ暗い設定が妙にリアリティを感じるし、艱難辛苦の日々を経てかつての侍女と再会したのに旅立ちが「さよなら」という訣別のようなシーンだし、この物語エンディングで主役が刺し違えるやつじゃないのか?と驚いたものです。なので3章でああいう展開になったのはある程度気配が読めてしまったところがありましたし、4章は正直ちょっと物足りなさを感じたりもしました(我ながら非道い感想である)
 メインキャラクターの多くはこれまで振り返ったとおり、それぞれの職業を強く意識した物語であり、己の職業に対する真摯な信念が柱になっていました。しかしプリムロゼ編における"踊子"は、作為的な悲劇を眺める愉悦を味わおうとする男によって踊らされた者。最後に彼女を支えたのは家の誇りと父の言葉でした。その点から、プリムロゼ編は他の7人とは大きく異なる物語でした。私がプリムロゼ編に幾ばくかの物足りなさを覚えた理由はそこにあるのかもしれません。彼女が踊子としての信念を掴むのは、まだこれからなのでしょうから。

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(↑最後の一枚絵が前向きな表情でよかった…という方もいたのでは)

 他の7人はある程度将来像が想像できるんですけど、プリムロゼだけは"その後"が気になりますねぇ。もっとも物語的にその後を描くのは野暮っていう気もしなくはないし、難儀なところです。スッキリとはしないですが、暗い秘密を抱えた美女として非常に"らしい"人物であったのは確かで、決して嫌いではないですね。

 

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 踊子で一番印象的だったのは【孔雀の舞】でしょうか。行動順を調節してサイラスの大魔法に合わせる動きをすることが多く、正しくバッファーとして活躍してくれました。私の場合火力が物理/属性入り混じっていたので、火力強化を全体化するのは手間が大きい印象があり、普段使いでは奥義にそれほどの重要さは感じなかったですね。ただしガルデラ戦前半では【健全化】を如何に早く全員に蒔くかが極めて重要なので、奥義は非常に重宝しました。
 むしろ踊子で印象的だったのは【反撃】と【SP自動回復】のサポート2種。【反撃】は前述のオルベリクの他、トレサやプリムロゼも回避に寄せて中盤に採用しました。カウンターでシールドが削れるとなかなかに痛快。【SP自動回復】はこのゲームの戦闘システムと非常に良く噛み合っていると思います。シールドを割っているときのターン経過で大技を撃つだけのSPを回収できますし、持久戦において全体攻撃技や回復技が実質ほぼノーコストになるのは非常に大きなメリット。縁の下の力持ちとしてパーティーを支えてくれた名脇役でした。
 ちなみに【摩訶不思議の舞】は一度も使わず。経験値100倍やらJP100倍やらが超低確率で出ることを知ったのはクリア後でした。でもまあ、道中【エンカウント半減】を適宜付け外しして戦闘と育成を楽しみながら進行していたので、知っていても使わなかったと思います。博打は苦手ですし(^_^;)

 

●最後に―メインストーリー後の展開とラストバトルについて

 メインストーリー後の感想は前回も多少書きましたが、もうちょっと門までの過程に厚みが欲しかったですね。リブラックは暗躍型で配下がどうのという動きをつけるのは似合わないとは思うんですが、ゲーム的なやりごたえとして前段となる敵やイベントをもう少し付けてほしかったです。

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 ただ、フィニスの門で一気に明らかになった真相については見事なまとまりだと唸らされました。見たかったものはしっかり出来ていたのでそういう意味での不満はありません。ラストバトルの2連戦も非常にやりごたえがありました。RPGで久々に「この戦闘を味わえて良かった」と思える戦いでした。過去にここまで醍醐味を味わえたのは、古の七英雄や魔王ムドーくらいでしょうか(といってもやってないRPGも多いのですが。人修羅とかウェポンとか倒してないですし)

 ほんと、再戦にやたら手間がかかる点が惜しくてなりません。ガルデラ戦は基本的に何度もリトライして戦法を模索していく戦いだから、リトライがしづらい1点のせいで手放しには褒められないんだよなぁ…

 

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 ガルデラ戦で使用したアビリティは上にもチラホラ書いてますが、【回復限界突破】は全員に、アタッカーには【ダメージ限界突破】、あとは回復役とトレサに【ラストアクト】、このあたりは鉄板かなと思っています。
 個人的に重宝したのは【永続フィジカルアップ】【永続エレメントアップ】です。ガルデラ戦の大きな課題のひとつに相手の攻撃をどう凌ぐかがありますが、打ち消されることのない防御/属防強化は想像以上に頼もしかったですし、なるべくダメージを稼ぎたい戦いでもあるので火力向上も勿論有用でした。ヒーラーにはフィジカル/エレメント両方、アタッカーには攻撃手段に合ったほうを付けて臨みました。
 細かい戦法についてはさすがに冗長すぎるので省きますが、ひとつ意外だったのは精霊石(特大)のダメージ量がけっこう大きく前半戦で重宝したこと。誰でも確実にシールド削りとそれなりのダメージを入れられる点は状況によってはかなり助かるので、覚えておいて損はないです。
 あとは前半戦では全体健全化をなるべく維持する、後半戦では常に緊急回避を保持しておく。後半戦はいきなり全体攻撃せず、場が安定するまでは厄介な部位を各個撃破して相手の手数を減らす。こんなところでしょうか。
 少しWebを調べた感じだと、倒し方やパーティーメンバー、ジョブ選択などは人によってある程度の個性が出るようですね。まだ倒していない方は是非挑んでみてください。リトライに時間がかかってしまうのは本当にしんどいですけど、倒したときの達成感は保証しますよ!

 

 以上、オクトパストラベラー職業&キャラクター感想でした。それにしても長い文章になってしまった…ゼノブレイド2のときも相当長く書いてしまいましたが、それだけ様々な思い出の残る価値あるゲームでした。やっぱり2DRPGはいいですね!

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また次の感想でお会いできれば幸いです。

 

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