心の炎が消えぬ間に

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カービィ最新作が担う、2つの「入口」【星のカービィ スターアライズ感想】

お久しぶりですm(_ _)m
遅ればせながら、星のカービィスターアライズを100%クリアした感想を書いていきます。重大なネタバレは避けていますが、ストーリークリア後の要素に触れているので未プレイの方は御注意を。

 とりあえず、公式の紹介動画をぺたり。

 


星のカービィ スターアライズ 紹介映像

 

・おすそ分けプレイを活用した、「アクションゲームの入口」としての作品

 今作をプレイしてまず感じたのが、「アクション自体に慣れていない人を含めた複数人プレイ」を強く意識している点。過去作と比べると謎解き的なギミックが抑えられている代わりにザコ敵の配置が多めで、二手に分かれて進むシーンや昔のメタナイト軍団のように次々と湧いてくる雑魚を倒すゾーンが要所要所で出てきます。ボス敵も複数で立ち位置を分担することを意図していると思われるものが少なくありません。

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 カービィシリーズにおなじみのコピー能力を使って突破口を開くシーンは各面にありますが、その数は控えめです。3DSの過去作だと隠しアイテム3つ&収集品(キーホルダーやステッカー類)のレアもので1ステージに4つほど探索要素がありましたが、今作だと1ステージ毎には収集品枠としてパズルピースのレア品が1つと、隠しステージを解禁するスイッチが1つあるかどうかです。しかもステージによっては探索するまでもなく道中で入手できることも。探索要素で言えば過去作よりかなり少なめでした。

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 謎解きが控えめな代わりにコピー能力を活かした戦闘は派手で、バシバシと敵を倒していけます。次々と敵を倒していく爽快感は歴代カービィでも高いほうではないでしょうか。採用されているコピー能力もヨーヨー・スティック・プラズマなど扱いやすいものが多く、さらに一部の能力に付けられる属性攻撃や複数人で繰り出せる合体技は過去作にないパワフルさがあります。属性は単純な威力・範囲の向上だけでなく、氷の敵は火で素早く倒せるなど相性の要素もあり、過去作のカービィにない奥深さがあります。

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 敵配置やボスの能力はカービィシリーズらしくそこまで厳しくはありません。あえて言うとボスの耐久力が高めなのと、後半のボスに人型で動き回るタイプが多くやや攻撃しづらい点があるのですが、3人のフレンズによる攻撃や合体技でこちらも十二分に対抗できます。コンピューターが操作するフレンズはあまり攻撃を避けないので攻撃を任せっきりにするには限界がありますが、攻め手としては結構優秀です。
 1人プレイだと攻撃はコンピューター主体で自分は慎重に動くという戦い方ができますし、複数人プレイなら強力な合体技が使いやすくなります。総じて、今作はカービィシリーズの中でもかなり易しめの難易度と言えるのではないでしょうか。


 これらの傾向は、多人数プレイにおいて「突破方法が分からず立ち止まる」「上手い人が手早く動くと他の人がやることがなくなる」場面を少なくするためのものだと思われます。みんなでアクションゲームをしているときに「ちょっと待って行き方考えるから」となったり「もう全部カービィ1人でいいんじゃないかな」というのは興醒めの元になりかねませんからね。
 その代償として、過去作のカービィに慣れたプレイヤーにとっては頭をひねる要素が減った分やや淡白な作りになってしまった印象は否めません。しかし、アクションゲームの経験が無い人にとっては、多人数プレイでも動いて攻撃して楽しむことができるゲームであることが何より大事な点であり、妥当な調整だと思います。

 

・フレンズ達の大集合による、「カービィシリーズの入口」としての作品

 カービィシリーズは25年を越える長期シリーズ作品で、派生作品も含めるとこの時点で30種類ほどゲームが出ています。大きくなったものです…
 今作はドリームフレンズという過去作の主要キャラクターを扱える要素があり、これを書いている時点で6種類、今後のアップデートでさらに追加が予定されています。シリーズのあちこちで登場するデデデ大王メタナイトをはじめ、過去作で一度だけ登場した面々を含めた個性的で懐かしい顔ぶれが並んでいます。ストーリーモードでドリームフレンズを使うには条件があるのでいつでも自由にとはいきませんが、その分戦闘能力はかなり高いです。

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 ドリームフレンズはストーリーモードだと助っ人として連れていくのみですが、ストーリークリア後に登場するモードでカービィ以外の好きなキャラクターを選び、(一人プレイでも)操作することができます。過去作にもデデデ大王メタナイトを操作するモードが入っていることはありましたが、今作は通常のコピー能力によるフレンズを加えると、30種類以上の異なるキャラクターを操作することが可能という贅沢な作品です。 ブルームハッターが主役になれる日がくるなんて思いもしなかった…

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  ゲーム中に+ボタンを押すと各キャラクターの解説や技の説明を見ることができます。普段はカービィの操作説明ですがフレンズ操作時はそのキャラの情報が見れるので、キャラクターの元ネタを知らなくてもある程度のことはわかるようになっています。カービィが初めての人も安心。

 ポーズ時の解説文はカービィシリーズおなじみの要素のひとつ(ボスバトル時はまずポーズして文章を読むのがお約束という人も多いのでは)ですが、過去作の雑魚キャラクターがフレンズとなったことで自ら操作できたり(ささやかながら)解説文が付いたりしたのは画期的ですカービィシリーズは多弁な作品ではないので、様々なキャラクターに関するテキストがあるのは貴重なこと)フレンズの面々は過去作の重要キャラクターや登場回数の多い雑魚キャラが多く集まっており、カービィが初めてという人にとっては1本で様々なキャラクターやコピー能力を知ることができるお得な作品になっています。


 メインストーリーについても、今作はカービィシリーズの大本のルーツとなる部分を匂わせるところがあり、世界観好きにとって必須の作品のひとつと言えるでしょう(今作がお初で裏設定を探りたくなった方はWii版オススメ
 Wii版以降のカービィはストーリーの軽妙さの裏に重たい設定が隠れていることが多いですが、特に今作は極めて重要な情報が秘められていると言えるのではないでしょうか。といってもお話自体は過去作を予め知っている必要は全く無く、いつもどおりシンプルに世界を救うストーリーです。今作で始めて過去作品をあとからプレイする形でも問題なく楽しめます。

 

・恒例のボスラッシュも、もちろん有り

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 カービィといえば最後にボスラッシュモードが立ちはだかるのが伝統。今作もきちんと用意されています。今回はTheアルティメットチョイスという名称で、開始前に難易度と4人までの参加メンバーを選ぶ形式です(難易度によってボス数・回復アイテムの数が変化します)初級者と一緒にゆるくボスラッシュを楽しむもよし、ひとりで最高難度に挑むもよしという幅を持たせた設計で、ここもおすそ分けプレイを考慮した結果だと思われます。

 最高難度ではボスが強化形態に変化するのがここ最近のお約束ですが、今作は他のモードでほとんどの強化形態版と戦えることもあり、最高難度ボスラッシュも比較的戦いやすくなっています。初見では対処しづらい攻撃もありますが即死級とまではいかないこともあり、腕に覚えのあるプレイヤーであれば比較的早く攻略できるかと思います。ドリームフレンズを連れていったり自分でドリームフレンズを操作したりもできますし、いくつかのコピー能力がかなり強力でもありますので、過去作と比べて100%への道はそこまで険しくないでしょう。(対処しやすいとはいえ回復アイテムが少なくなるのでアクションゲーム初級者がゴリ押しできるほどヌルくはないですが…攻撃と回避のメリハリを付けられるかが鍵ですね)

 

・細かい要素について

グラフィック:さすが最新機というべきか、柔らかい雰囲気の風景が綺麗に描写されています。キャラクターの愛くるしさも健在。テクニカルな映像表現は無いものの、最新作として満足いく出来だと思います。動きに60FPSのような滑らかさはないですが、個人的にはそこまで気にはなりませんでした。
一つ気になった点としては、プレイ中に敵の攻撃に注意しようと自キャラから目線を外したあと、再度自キャラを見ようとしたときに見失いやすかったことが挙げられます。何度か「あれ?カービィどこ?いかん何処かわからん、ウッ(被弾)なんて目にあいました。全体に色鮮やかであるぶんキャラクターが溶け込みやすいので、例えばステージ背景から浮き出るような表現にするといった、キャラクターが強調されるような工夫が欲しかったところです。

 

システム関係:エリア移動の間やゲームモード選択などで数秒のロード時間があり、微妙に待たされることが多いです。エリアが切り替わるたびに(・・・)と待ちが入るので正直かなり目立ちます。最大4人操作ゆえにプログラムの呼び出しに時間がかかる作りになったのでしょうか?我慢できないほどではないですが、既存の2Dアクションゲームのようにサクサクした動きでないのは残念なところでした。

 

音楽:個人的には過去作の「CROWNED」「狂花水月」「VSスタードリーム」のような圧倒的なインパクトのある曲は無し。しかしカービィシリーズらしい心地よいメロディが揃っており、全体的な満足度は高いです。好きな曲はサウンドルーム番号で言うと13、47、79、94など。サウンドルームには過去作から再登場した音楽も多数収録されています。カービィシリーズ初めてという方には、高く評価されているシリーズの音楽を色々と知れる点でお得といえます(このくだりさっきも書きましたね(^_^;))逆にいうと、過去作の曲を聞き慣れている人にとってはやや新鮮味に欠けるかもしれませんし、久しぶりの楽曲に懐かしさを覚える人もいるでしょう。

 

実は録画機能に対応している件:いやー、30秒だしまあ使わないだろうと思ってたんですけど、まさか今作が録画機能に対応しているのを感謝することになろうとは(^_^;)「なあにこれえ」と思ったらスクショボタン長押し、これだけは覚えておいてね!

 

●Switchソフトラインナップ戦略の一環としての、スターアライズ

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 今回のカービィは珍しく対応機種の初期に登場しましたカービィはハード中期以降に登場することが多い)
 Nintendo SwitchゼルダBotW / ARMS / スプラトゥーン2 といったゲーマーにとってやりこみがいのあるソフトが主力で、万人向けの役割を担うことの多いマリオも3Dアクションであるぶん若干ゲーム慣れしている人寄りの作品であったように思います。スターアライズはそんなSwitchにおいて最もゲーム初心者に寄せた、初めてゲームに触れる人の導入用として企画された作品であったのではないか…という印象を持ちました。


 探索や謎解き要素が控えめ。攻撃手段が豊富でコピー能力を使いこなす楽しさが強い。多彩なキャラクターの存在。
 スターアライズは一見いつものカービィですが、過去作と比べるとなかなかの異色作であったように思います。ステージの隠し要素を暴きつつステージを進めていく近作の流れに慣れているとやや物足りない側面もありましたが、コピー能力で思う存分暴れるには良い作品でした。久々のヨーヨーやスープレックスは楽しかった…!
 アクションゲームに不慣れな方にとっては協力プレイやコンピューター操作のフレンズが助けてくれる分、導入作として優秀だと思います。強力な攻撃アクションが好きな方は、様々な能力を使いこなす楽しみがあります。そしてカービィの世界観が好きなファンにとっては、シリーズの根底を垣間見ることができる重要な作品と言えます。
 気になる方は、是非プレイしてみてください。

 

 …そしてこの作品(あるいはそれ以外)でカービィが好きになった方は、是非ロボボプラネットを。
 カービィとしてはやや辛口ですが、個人的に2Dアクションとしてひとつの到達点を迎えたと思うほどの傑作です。